目とは対象物が何にどんな感情を持っているかを素早く相手に認識させることが出来る媒介である。
それ故アートにとって最も重要な要素の一つである。
だが昨今の目のアイデアとして、これほどまでに進化しないのもまた目なのである。
なぜなら対象物を見るためには瞳孔、水晶体、硝子体等のパーツで組み立てられており、それが集まった物が目として存在しているからだ。その集合体として目とは円形であるというイメージが強く、アーティストが色々な描き方を模索したとしても、概念が根底に存在している限り、枠の外に出ることはない。
では、目という概念を崩し、かつ目のイメージを損なわない物とは何か?
まずはイクラをイメージしてほしい。イクラは透明な膜に覆われており、中に核が入っている。どんな角度でも同じ映像を抽出し、一辺だけを見れば目に見えなくもない。
次に核のイメージをイワシに見立てる。群集で大きな塊に見立てて外敵から身を守る。沢山の個体から一つの集合体とする。
前者を透明な円のモデルとして最適な屈折率を設定し、膜を張る。
後者をパーティクルの集合体とみなして、新たな目を構築する。
そして円の中でパーティクルは基本集合して1つの核となるが、外的要素によって多種多様に形を変化させることも出来る。
つまり目としての機能もあり、情報デバイスとしての役割も持たせることが出来るようになる。
ただパーティクルをコントロールするのは容易ではなく、多数の物理的要素wind FXやgravity FXを用いても困難を極める。
今回のアプローチはパーティクルの寿命を1~2フレームに抑えコントロールし易いようにし、パーティクルはプリセットにある水銀を選択、爆発を-に設定して中心に集まるようにしている。
基本的には質量保存を崩すことなく一定のパーティクルを常に放出し、目の形状を保つと共にある程度まで形が破壊されない程度のwind FXで形をコントロールする。しかし1つのパーティクル発生源に対しての効果の程は芳しくなく、ある程度の成果で断念した。イメージ的には〇や×をパーティクルで表現したかったのだが、〇なら8つ、×なら5つ以上のパーティクル発生源があった方が良かったのかもしれない。
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